やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

玄尚哲 展 -陶 青緑のうねりん体-

玄尚哲 展 -陶 青緑のうねりん体-

2008年7月4日(金)〜8月2日(土)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク  2008年7月4日(金) 18:30〜19:00

Photo: 「Think aloud」2005 H700,W110,D800mm

プレスリリースpdf_icon_s.gif PDF 75KB ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。



展示会概要
玄尚哲(Hyun Sang Chul)さんの作品は、陶の長い紐のようなかたちが、捻れたり、螺旋を描いたり、部分的にボールのように大きく膨らんでいます。
陶でありながら金属を思わせる肌合いは、緑青が噴いたような、青銅のような質感です。この赤銅色の陶土にピーコック (青緑色)をかぶせた釉薬が独特で、軽妙なかたちでありながら、重量感と強い存在感を放っています。1点の大きさは60cmから2mで、大きなものでは100キロ以上の重さがあります。
玄尚哲
玄尚哲 玄尚哲
玄尚哲
すべてロクロで制作したドーナツ型を切ったり、貼ったりして再構成することによってこのかたちを生み出しています。重厚感のある紐状のかたちが、勢い良くダイナミックなムーブメントをつくる様は見る者に自由闊達なイメージを与え、どんどん続いていく道のような、伸びやかさや大らかさを感じさせる作品です。
 玄尚哲さんは、韓国釜山出身の30歳の若い作家で、今展が初個展となります。
釜山の美術大学で陶芸を学んだ後、大阪芸術大学大学院を修了し、現在は信楽の窯業の会社に勤めながら制作をしています。
玄さんが過ごした90年代後半の釜山の陶芸は、帰国した留学生の持ち帰ったアメリカ文化の影響が強かったと話します。その事に疑問を感じた玄は、他国の同世代の学生はどのような作品をつくり、どのような考え方をするのか知りたいと思い、同じアジアの日本で学び、比較的自由な雰囲気の中で独創的な作品を生み出しました。
 玄さんの作品のもうひとつの柱は、韓国に古くから伝わる「東学」という学問です。これは宗教的な考えにも似て、「神は自らの中にある」と自分自身を深く掘り下げて考えることを学びます。作品のうねるかたちに、あふれるエネルギーやうつろう人間の感情を託し、作品の色には釜山の穏やかで美しい海の色を重ねて表現しています。

 新作を含めた4点が展示されます。大らかで力強い、そして艶やかな青が美しい作品をぜひご覧ください。
玄尚哲
玄尚哲 玄尚哲
玄尚哲

Photo:ガレリアセラミカ会場 2008

インタビュー
2008年5月10日 インタビュー:大橋恵美(INAX文化推進部)
大橋 展覧会の準備はいかがですか。
新しい作品が出来つつあります。2000と1600の高さがあります。
大橋 すごい。大きいですね。でも会場は2300の天井高なので安全に入るようにして下さいね。 作品の色はずっとブルーですか。ブルーの理由は。
ブルーというか、ピーコック色が大好きです。自分に合う。青でなくて海の色の青緑です。下の赤を抑えている、自分自身です。この色になったのは日本に来てからです。自分は無口なので、思っていることや考えていることを色で表現しているんです。
大橋 私たちが日本語でインタビューしているから申し訳ないんですけど、作家はどちらかと言えば口下手な方が多い。玄さんは無口でも、色やかたちがたくさんしゃべっているんですね。 今は信楽に住んでいらっしゃるから、釜山出身の玄さんは海が恋しくなりませんか。
去年は海が見たくて、ゴールデンウィークに和歌山県の白浜に行きましたよ。でも途中で帰った。想像していた海と違って、怖い感じ。ゴツゴツした岩ばかり多くて、名前の白い浜とは違った。
大橋 玄さんの作品には海を感じます。作品が曲線でクルクルしているのは何をイメージしていますか。
感情の動きです。宗教的な面も入っていると思います。
大橋 韓国はキリスト教の方が多いですよね。
私もカトリックです。でも私は高校が「東学」の学校でした。「東学」は韓国のオリジナルで朝鮮時代からあって、神は自分の中にある、自分が神であるという考え方なんです。神様でなくて自分を信じて生きていこうという学問です。
大橋 現代人には分かりやすい考え方ですね。抽象的な神様があるのではなく、自分の内面へ内面へと視線がいく。玄さんの作品のかたちは、言葉であり、想いであり、信仰というものが一緒になったようなもので、自ずから出てくるものということですか。
自分にとっては、たとえば今日いっぱい食べて、しゃっくりをしたら、吐いて出てくるものです。
大橋 吐くという比喩が面白い。私はこの曲線は有機的な植物や動物を連想しました。時々塊になっている部分がありますけど。
これは自分の持っているユーモラスさ。
大橋 でも軽くはないユーモア。存在感があって重みを感じますよね。紐のようなつくり方なので、もっと軽やかなイメージにもできるのに、なぜですか。
自分と似ている。これは全部ロクロでつくっています。ドーナツ形をつくって、切って繋いでいきます。塊になっている部分は空洞です。僕の作品は丈夫で重くて、特に今回は400キロ位あります。
大橋 新しい大きな作品はどんなかたちなんですか。
ツリーみたいなかたちのものと、外側にたたらでつくった枠のある、四角い箱の中に入っている感じのものです。
大橋 土の箱の中にうねうねしたものが入っているんですね。どうして、そんな箱の中に押し込めちゃったんですか。
拘束されているんです。
大橋 うねうねした道がどこかへ行ってしまうようなかたちが良かったのに。どうして縛るようなことになってしまったんですか。
会社に入ってから、そういうかたちになったんです。作品は、会社の仕事が終わってから陶芸の森の研修生として夕方7時位から夜中の12、1時位までつくっている。
大橋 それはちょっと体力的にきついかも知れないですね。ところで、玄さんはどうして日本の大学に留学したんですか。
自分の国以外の同年代の人がどういう考え方を持っているか、どういうものをつくっているのか知りたかった。
大橋 韓国は未だ陶のオブジェ作家が少ないですよね。
すごく少ないです。韓国は戦争によって陶芸史が切れている。その後経済成長によってアメリカに留学して帰って来た人に教えてもらっているんです。でも切れている部分の流れはないです。でも今はちょっと変わった。80〜90年代は完全にアメリカのオブジェみたいなものばかりでした。
大橋 大阪芸大に来てどうでしたか。予想と違いましたか。
楽しかったです。自由な感じでした。
大橋 釜山の大学から大阪芸大を選んだのはなぜですか。
韓国の大学の先生からも学校を見ずに先生で行けって言われて、柳原睦夫先生に教えてもらいたいなと思って選びました。
大橋 でも、少し前は自由な感じだったのに新作が箱に入ってしまって残念です。会場自体がホワイトキューブという箱なのに。箱のかたちになるのはずっと後でも良いと思う。もし箱に入れても箱の方が壊れている箱、壊そうとした箱、半分位壊れている箱ならわかるけれども。
前と後は空いているんです。上部からは曲線が飛び出ている。
大橋 玄さんは辛いんだなというのがストレートに伝わって、見る方も辛くなる。
(笑)。
大橋 新作のもう1点も大きさは60cm位ありましたが、紐が絡まって玉のようになっていましたね。
はい(笑)。
大橋 エネルギーはすごいですけど。働き始めて2年目ですよね、陶器の会社で良かったと思いましたが。
でも自分のことはできない。
大橋 それはどこの会社でもそうです。働くのは陶器会社じゃないほうが良かったのかな。
でも知識的なことは身に付く。原料とか、知らなかったことも。
大橋 ところで、作品それぞれにタイトルはあるんですか。
「ひとりごと、独白」です。ひとつずつこれはこれですというより、自分の表現する行為に重点を置いたタイトルです。静かに叫ぶ。
大橋 (笑)いいですね。先ほど宗教の話がありましたが、自分の中で対話をする感じか、それとも自分の気持ちをどんどん掘り下げていくみたいな感じなんですか。
自分を苦しめている。新しいものをつくろうとする時は身を削って。今日は話ができるかどうかすごく緊張しました。韓国の大学で四年生の時、自由につくれと言われてつくったかたちについて、先生にプレゼンテーションをしたことがあるんです。その時、なぜこういうかたちになったかは自分でもわからないということを言ったら、先生はきっとわかるはずだと。子供の時の成長、家庭の環境、じっくり考えてと言われた。でも未だにわからない。
大橋 ものをつくりたい、つくりたいというよりつくらないと生きて行けないという人がものをつくる人になっているんだと思います。
白磁の前田昭博さんが2年前に学校にいらっしゃった時におっしゃったことですが、「人が良くないといい作品はできない」。
大橋 私たちは作品に先に会って、ご本人には後から会うことが多いのですが、作品の素敵な人は良い人だったということが多いです。それはきっと、ものをつくることへの敬虔な気持ちが作品に表出してくるのかなと思う。作品とは、自分が驚きたくて、自分によくやったと言いたくてつくるような気がする。
私もそんな気持ちになる時は、幸せだと思います。
大橋 すごく幸せだと思いますよ。上手いと言われたりするより、もっとこんなのやりたいと思っているかたちになるのが、理想的だと思います。展覧会楽しみにしています。
作家略歴
1978 韓国釜山生まれ
2003 東亜大学校工芸科陶芸専攻卒業
2005 美濃国際陶磁器展 入選、43回朝日陶芸展 入選
2006 大阪芸術大学大学院芸術制作研究科修士課程卒業
2007 同大学院芸術制作研究科研究生
2008 滋賀陶芸の森で制作中

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.