やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

安達知亨 展 −白い陶磁 幾何学の感情−

安達知亨 展 −白い陶磁 幾何学の感情−

2008年5月8日(木)〜6月3日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク 2008年5月8日(木) 18:30〜19:00

Photo: SURFACE 03  2007 400×400×600mm

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展示会概要
2008年5月は安達 知亨(Adachi Tomoyuki)さんの展覧会を開催します。
内側を刳り貫いた白磁の立方体が、碁盤のように並べられ、そこから等間隔にギザギザの噴火口のようなかたちが上下に飛び出しています。
滑らかで端正な幾何学形態と、尖がって一面にギザギザを刻まれ、何かを吐き出すように口を開いた有機的なかたちとの組み合わせは、誰もが感じるなだらかな造形性を裏切り、強烈な印象を与えます。 あるいは、直方体の内部を刳り貫き、内側いっぱいに上下から鍾乳石のようなかたちを設置した作品。直方体の量感ある天地の圧迫感と、圧迫されて粉々に壊れそうなギザギザに削られた円錐形のコントラストも、どこか破壊の一瞬を見ているような迫力があります。
安達さんは、こうした作品を発表し始めて10年近くになります。
1点は1m四方あり、白磁土の力塊が存在感を放ち、執拗に彫り削られた無数のラインが高い密度を醸し出す作品です。


安達 知亨
安達 知亨 安達 知亨
安達 知亨
安達はもともと油画科出身で、絵画のマチエールをテーマにしていた学生時代に、焼成された土や石の表情に魅了され、やきもので作品をつくるようになります。しかし、どんなに豊かな表情であっても、造形作品は人工物に過ぎず、土に還らないということに突き当たります。そこで、敢えて自然界にはない立方体をモチーフに制作をするようになりました。傷のように刻まれる無数のギザギザは、時間や手業の痕跡そのものです。新作では、この手跡を立法体の表面にのみ残し、有機的なかたちの一切ない、コンポジションによるインスタレーションも制作しています。
長い間発表を重ねながらも、個展は今展が初回となります。
安達 知亨
安達 知亨 安達 知亨

Photo:ガレリアセラミカ会場 2008

インタビュー
2008年2月10日 インタビュー:入澤ユカ(INAXギャラリー顧問)
入澤 安達さんの作品は2004年の朝日陶芸展位から拝見していましたが、元々は油画科でしたよね。そこから陶芸を始められたのは。
安達 陶芸サークルからです。大学に入った時に、周りではコンセプチャルやらパフォーマンスやらが声高に語られていて、それまでちゃんと絵を描いていたのに違和感というか、悩み始めて。 そこでなんとなく陶芸サークルで実際に手を使って土をいじったり、焼いたりしたらリアルな感じがした。3年生から2年間位。ロクロが主でした。
入澤 土に触り始めて9年位ですね。十年一区切りで行けば、自分のやりたいことが変遷しつつ、今回は自分がつくったものを様々に構成して、色んな表情を見せたいという作品ですよね。その辺りの変化はどうしてですか。
安達 ずっと絵を描いていて、僕はマチエールをつくるような描き方をしていたんですが、 初めてやったやきものが薪窯だったんです。土と石と灰ですごいマチエールが出来て、これは絵画ではつくれないんじゃないかと思ったんです。それで大学を卒業した時に、よし、やきものをやるぞとすぐに秩父に築窯したんです。
入澤 今回の安達さんの作品は、真っ白な枡のような、サイコロのような立方体を縦横に繋げたものですが、立方体の各面が手仕事で、絵画的なマチエールへのこだわりみたいな感じですね。型を使ったやきものですが、表面は削ってつくり出すんですか。
安達 そうです。独立してつくり始めた時に、イタリアのアルテポーベラ作家でジョゼッペ・ぺノーネの作品に出会って、すごく衝撃を受けたんです。 それまで僕は土が焼き固まる物質感に魅了されて、自然物的リアリティのあるものをつくろうと思っていました。でも、ぺノーネの川の石を模刻して「私は川がつくり出した行為をノミでつくり出した」という作品や、製材した木を年輪のところまで掘り起こした作品を見て、なんかすごくリアルだなと衝撃を受けたんです。 やきもので純粋なものをつくってやると思っていたのが、出来ないんじゃないかと思うようになってしまった。なんで焼くのか、なんで土を使うのかと思うようになったんです。 さらにその当時、つくった作品で気にくわないものを清掃工場へ捨てに行ったんです。 そうしたら、やきものは分類の仕方で埋め立てゴミだと。すごいやっかいなゴミをつくっちゃったのかなと。 それから陶器というのは人為的な素材なんだと考え方が変わった。それを制作基盤にした。 「陶は人工物」という所からアプローチが出来ないかな、単純に土に還してなるものかと思うようになりました。その時逆に、では一番土に還りやすいものはなんだろうかと考えて、単純に葉じゃないかと思い、葉を陶器に起こして「土に還らない」とタイトルをつけた作品が2003年です。
入澤 陶器もすごく長い時間では還りますよね。地球自体が太陽で焼かれたものであり、その上に柔らかなものが積もって出来ている。それでも安達さんは、「還らない」と言いたかったんですね。人工物だと思ったから使う土が磁土に変わったんですか。
安達 土は表情、癖が強くて「自然」を勘違いしやすい。だからかたちをつくればつくるほど無意味なものになってしまう。焼成するだけで既に完結してしまい、「モノ」として成立しないと考えるようになったんです。それで磁土の方が主張が少ないかなと思って。
入澤 安達さんは今、自分の生理と表現することの間を行ったり来たりしているんだと思います。安達さんにとって自然であったはずの絵画が、当時の絵画的な流れのようなものは魅力的ではないという所から、陶芸が始まっている。 この「内と外の共存」というテーマは常に幾何学形態で、そこに手の痕跡というか、対照的なものを組み合わせていますよね。「SURFACET」でもプロダクト的な雰囲気の中から噴火のような表情が飛び出していたし、重力に反しているかたちとか、そういう矛盾している所が安達さんの魅力だと思っていたんです。でも新作にはそれがないですね。
安達 「触れる」ということを表現したかったんです。常に相反する矛盾があって、行ったり来たりしていますが、せっかくつくったものが、焼成によって何かが抜けてしまう感じがあった。触れた行為を焼成後にも残るようにしたかったんです。だからルーターで指紋のような溝を削っているんです。 かたちに関しては、自然界にはキューブというかたちはないので、自分の作品がより人為的であることを自覚するためです。
入澤 表情の全部が違うことはわかります。説明を聞くと狂おしい作品なんだけど、実際に見るとものすごくスタイリッシュに見えてしまう。90度90度の力ってすごいですよね。狂おしささえもコントロールしちゃう。見せ方はどうするんですか。
安達 台は使わずにキューブだけで構成しようと思います。ただ高さが出ると危ないかな。キューブ1個でも存在感があり、構成してまた、作品であるようにしたいんです。
入澤 たった1個では立体タイルみたいなシンプルなキューブにしか見えない気がする。空間の中で幾何形態が、ふわっと見えるようだったら良いのに。きちんとし過ぎると工業製品のようだと誤解しそう。
安達 誤解されても良いかなと思います。ただ、最近では手作り風の工業製品などもありますから、手製品も工業製品もはっきりとした区別はないと思います。
入澤 良く誤解されればいいけど。初めての個展なので、そこは気をつけた方が良いですね。今回初個展で、きちんとした展覧会をやりたいという緊張感なのかなぁ。今まで持っていた作品のチャームまで削ぎ落としてよそゆきの顔になっている気がする。
安達 なるべく余計なものを省いて行ったら、大事なものまで省いてしまったということでしょうか。
入澤 私達が500回位企画展をして来た中で、ここが安達さんだけのチャームだと思う部分を消そうとしている気がするんです。 今日お話していて、自分が集中して制作する部分はすごく出来ていると思いますが、この展覧会は、自分が見落としてきた事が見えてきて、色んな見方を体験する良い機会になりそうですね。安達さんは陶芸科でなかったことで周りの影響を受けていない良さと、でなかったゆえの思い込みがありますね。技術やオリジナリティを持ちながら観念的な傾向がある。どうしてこれまで個展をされなかったんですか。
安達 つくっている上で、人に見てもらうことは大事なことだと思っていたんですけど。 なるべく色んなものを見たり、聞いたり、読んだりして、やきものでしかできない表現ってなんだろうと考えているうちに、知らぬ間にこうなっていた自分が恥ずかしいです。
入澤 そんなことはないですよ。生きていく長い時間のことを考えれば、これから開いていけて、作品ももっと豊かになると思います。楽しみにしています。考えすぎないでね(笑)。
作家略歴
1976 千葉県生まれ
2001 武蔵野美術大学造形学部油画科卒業
2002 埼玉県秩父郡にて築窯
2004 第42回朝日陶芸展入選
2006 第5回 出石磁器トリエンナーレ入選
2007 神戸ビエンナーレ入選

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