やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

田中知美 展 - 陶の襞 ゆらめくかたち -

田中知美 展 - 陶の襞 ゆらめくかたち -

2008年2月6日(水)〜3月4日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク

2008年2月6日(水) 18:30〜19:00

photo:star fish 18×20×21cm 2006

プレスリリースpdf_icon_s.gif PDF 71KB ※ご覧いただくにはAdobe Reader が必要です。



展示会概要
 田中知美(Tanaka Tomomi)さんの作品は、ヒラヒラと十重に二十重に土片が密集して重なり合い、楕円形の塊を形成しています。
ごく薄い土片による連なりは一見すると柔らかそうで、花弁のようにも羽毛のようにも見えますが、その黒い塊には冷たく固く締まった重量感があります。
田中知美さんの土による作品は、動植物が合体した近未来の生命体のような、あるいは甲虫や木の実や花にも似て、細かなディティールがざわめく息遣いや、いずこかへ飛び立ちそうな羽ばたきを感じさせます。

田中知美
田中知美
田中知美
その妖しさは色彩が濃いグレー一色であることに起因しているのかもしれません。ほとんどが50cm 〜20cm 四方と、両手に包むことのできる大きさです。
田中知美さんは現在大学院の陶芸コースに在学して制作をしている若い作家です。これらの作品を、編み物を編むように長時間細かい作業に没頭してつくり出します。手作業の愉悦の中から生まれてくる独自のかたちに、特にモチーフはないのだと話しますが、そこには今という時代の無尽蔵な映像世界からの享受もあるのかも知れません。
作品は躯体となる凹凸のあるボディに薄い土片を泥しょうで無数に貼り付けることによって構築されています。
数年前より公募展で発表を始め、その独特の存在感あふれる作品で入賞を得ています。今展は初めての個展開催となります。
田中知美
田中知美
田中知美

Photo:ガレリアセラミカ会場 2008

インタビュー
2007年12月12日 インタビュー:入澤ユカ(INAXギャラリー顧問)
入澤 「心の襞」(2006)で女流陶芸展を受賞されていますね。どこを評価されたか選評を聞きましたか。
田中 授賞式には出なかったのですが、図録に書いてあったのは、こういう表現は表現不足になりがちだけどよくまとめましたと。
入澤 似たかたちの横はよくあるけれど立っているところが評価されたのかな。同年の襞の作品が最初ですか。
田中 そうです。土から襞を思い通りにひねり出すのが難しいんですが。
入澤 でも塊になっていますよね。
田中 襞を1本からひねり出すと4本とか5本とかで限界が来る。それだったら貼った方がいいと。
入澤 ひねったかたちよりも、薄く羽のように出て来るかたちにしたかったんですね。
田中 そうですね。でもただ貼っていく感じが楽しかったんです。
入澤 楽しい瞬間がご自分の中で増えていき、さざ波のようなウエーブが出てきた。それは、慣れて来たという意味ですか。
田中 そうですね。途中で気に入った土の表情を引き出す方法に気がついた。 途中まで釉薬を掛けていたのですが、乾かしているうちに割れたものがあって、でもせっかくつくったのだから焼けばと言われて、釉薬を掛けるのが勿体ないのでそのまま焼き締めたら、釉薬を掛けたものより緊張感がいいなって。釉薬を掛けると細かい所や端が埋まったりするので。それからずっと釉薬を掛けていないんです。
入澤 「心の襞」というタイトルですが、よく形容詞で「心の襞に染み入る」と言ったりしますが、どういう意味ですか。
田中 ヒラヒラしたかたちだからです。「心の襞」という言葉があるけれど、色々思い出したり、考えながらつくったという意味でつけました。
入澤 1回ずつチャレンジをして花ビラみたいなかたちとか、色々変わってきているんですね。 変わる時、先生からは何かアドバイスがあるんですか。
田中 私はひたすら貼り付けているのですが、先生にこれだったら中のかたちはもっとふさわしいかたちがあるかもしれないよと言われて。私もこれはやり難いなと思っていたので、考えてみようかと思ったこともあります。
入澤 どうしてこういうかたちをつくろうと思ったんですか。
田中 課題が終わって卒展で何をつくろうかと考えた時に、陶磁器資料館の日韓交流展で、他の大学のワークショツプで色々な作品をつくっているのを見て、なんでもやっていいんだと知ったからですね。
入澤 今意識の中ではオブジェや器というより、かたちや表情をつくって行きたい感じですか。
田中 今はこれが楽しいから、ただつくっている感じです。これまで白い土でつくっていたんですが、土が荒くて焼き上がりがきれいでないと思ったので、今は黒い土の黒い作品になってきています。かたちにもこの色の方が格好良いと思っています。
入澤 一番大きなサイズはいくつですか。
田中 50cm位。小さいって言われることもありますが、つくる時にもこれ位の自分で抱えられる大きさが私は好き。
入澤 当初大学に入ったのは先生になる為ですか。
田中 違います。もともと美術がやりたくて。最初は絵を描いていたんですけど、実は自分は立体をやる時が一番楽しくて、でも彫刻は違うかなと思って、愛教大は工芸コースがあると聞き、それなら色々できると思いました。ガラスコースが珍しくて、やってみたくて来ました。
入澤 やってみてどうでしたか。
田中 熱くてできませんでした。
入澤 (笑)
田中 熱いし、棒の先にとろって付いていて触れないし、冷えて硬くなるのがすごく早くて、一瞬でやらなければならないので、やめてしまいました。
入澤 (笑) 土をやっている人で、最初はガラスをやりたかった人は結構多くて、皆同じ事を言いますね。やる前にガラスの作品はどんな工程で出来て行くのか調べないんですね。
田中 知らないけど、やってみたかったんですね。陶芸を最初にやってみたいと思ったのは、陶芸と言えばお皿やお茶碗をつくることだと思っていたのに、高校生の時に新聞で朝日陶芸展の写真を見たんです。グランプリをとった泉田之也さんの作品でした。それで陶芸でこんな事もできるんだと思ったのがきっかけです。
それから朝日現代クラフト展で福本双紅さんの作品を見て、陶芸って年配の人がやるイメージだったのに、こんなに若い人がこんな素敵な作品をつくっているんだと思いました。
入澤 田中さんは24歳ですね。作品はすごく大人っぽいと思います。こういう表現を自分でできるという喜びが伝わってきます。でも特にそのモチーフに強い想いがあるわけでもないですね。なんとなく自然にこうなってきた。そこがある種の軽やかな強さなのかと思います。私が戸惑っているのは、その素直に夢中になれるあなたが続けばいいけれど。今続いているのは、細かい作業やつくり込みに夢中だからですか。
田中 そういうところもあります。編み物みたいな細かい作業を、時を忘れてやっているうちに作品ができる。編み物では出来る過程が目の前で見えますが、陶芸では素焼き、本焼きと一旦目の前から消えて見えない所を経た後に驚かされることもあります。だから惹かれたのかなと思います。
入澤 このところインタビューをしていて、若い方が「自然に作品ができていく」と語るのを聞いて、芸術をやっている人としてどうなのかと私のような年寄りは思うんですね。もちろんすぐれた作品をつくる人には、無意識の何かがあるんだと思いますが、「自然に出来てくる」という言葉が多いので不思議ですね。それはいつまで続くのかなと。
田中 私の場合は、細かい事をひたすらやって土に触れているうちに、次はこんな事ができるんじゃないかと気付くこともあるし、重みでつぶれたりしない方法とか乾燥で切れない方法を考えながらつくり続けて、自分がつくりたいイメージと実際に出来上がってくるものを近付けていく作業が、つくっていたら自然にこういうかたちになったという言葉になったんです。
入澤 今回はどんな展覧会になりますか。
田中 私の作品は泳ぎ出しそうだったり、ふわっと浮かんでいるようなイメージがあるので、そんな感じの展示が出来たら良いと思います。
入澤 それは、どんなことですか。
田中 私の作品は泳ぎ出しそうだったり、ふわっと浮かんでいるようなイメージがあるので、そんな感じの展示が出来たら良いと思います。
入澤 それは、どんなことですか。
田中 つくる時にそうしようと思ったのではないのですが、出来上がった時に深海の大きな魚が動くイメージに似ているかと思って。
入澤 陶芸の学生さんと話すと、動物やその動きや好きな魚に仮託して話す人がすごく多いんですね。時代の共通性なのかな。でも映像で見たものや動物園や水族館にいるものに限られている。
田中 そうですね。出来上がったものを見て、過去に見たものを思い出すような感じです。
入澤 本当に何かが泳ぎ出しそうだったり、ふわっと浮かんだりしている作品がつくりたいのですか。
田中 つくりたい気持ちもあるけんですけど、どういうものをつくっているのと聞かれた時に魚が動いているようなかたちと言うと説明しやすいということです。
入澤 かえってわからない。(笑) 動き出しそうな作品を楽しみにしています。
作家略歴
1983 兵庫県生まれ
2006 愛知教育大学造形文化コース 卒業
2007 同大学院教育学研究科芸術教育専攻 在学
■ 展覧会、受賞暦
2005 第39回女流陶芸展(京都市長賞/京都市美術館)
2006 第44回朝日陶芸展(奨励賞)、グループ展 「cera-mix 愛教大の造形」(目黒陶芸館/四日市)
2007 グループ展 「愛教大の造形展」(愛知県陶磁資料館/瀬戸) 、フタのある形(ギャラリーヴォイス/多治見) 、日韓中現代陶芸―新世代の交感展(韓国工芸文化振興院/ソウル) 、第45回朝日陶芸展 入選 、第28回長三賞現代陶芸展 入選 、やきものの現在(ギャラリーヴォイス/多治見)

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.