やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

児玉みなみ 展  -おい、瓢! 陶のオブジェ -

児玉みなみ 展 -おい、瓢! 陶のオブジェ -

2007年12月7日(金)〜12月26日(水)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク

2007年12月7日(金) 18:30〜19:00



展示会概要
 児玉みなみ(Kodama Minami)さんの作品は、瓢箪をモチーフにした陶のオブジェです。瓢(ひさご)、つまり瓢箪は、古今東西老若男女に愛されてきた装飾のモチーフで、縁起物の代表として皇帝の御印から庶民の酒器まで、陶芸でもあらゆるものに使われて来ました。 私たちと同時代に生きる20代の女性である児玉さんは、テーブルウェアから酒器を連想し、酒器から瓢箪へと行き着きました。
ところで、児玉さんの作品の特徴は深い色彩をもつ釉薬です。白、黒、緑、黄土、サーモンピンクと、どの色彩をつかっても陶芸の釉薬だけが持つ、透明なガラス質に覆われた深く濃い色合の、どこか人知の及ばぬ小さな湖のような釉だまりをもった世界をつくり出します。そこへ瓢箪形のモチーフとなれば、どんな古典的な作品かと思われますが、児玉さんは瓢箪のふくらみを女性のボディに見立て、さわやかなエロティシズムを感じさせる作品をつくりました。 ふくらみとふくらみの間を鉄錆色の帯でキュッと締めたような作品、緑釉の濃淡で色分けた作品、瓢箪の口が白い花びらのように開いている作品など、いずれも高さは20〜40cmですが、可憐な中にどこかほんのりと色香の漂うディテールがあり、愛らしく寄り添いたくなるような存在感を持っています。


児玉みなみ 児玉みなみ
児玉みなみ
児玉さんは美術大学で陶芸を学びましたが、釉薬に魅せられ、かたちやデザインよりも色彩を表現することに惹かれて、卒業後も研修所で釉薬の研究を続けています。
児玉さんが作品につけたタイトルは「おい、瓢!」。まるでため息をついているように開いた瓢箪の口が何かを語り出しそうで、思わず話しかけずにはいられない感じだったから。
アラジンの魔法のランプには魔人が入っていましたが、児玉さんの瓢箪からはどんなつぶやきが聞こえるでしょうか。
児玉みなみ
児玉みなみ
児玉みなみ

Photo:ガレリアセラミカ会場 2007

インタビュー
2007年10月21日 インタビュー:入澤ユカ(INAXギャラリー顧問)
入澤 児玉さんは現在京都市の研修所にいらっしゃるそうですが、そこでどんなことを学んでいらっしゃるんですか。
児玉 研修所では1年間の半分は釉薬実習をやっています、私は釉薬がやりたかったので、ここにしました。
入澤 ひたすら調合やら教えてくれるんですか。
児玉 はい。化学的に何を加えたらどうなるかとか。
入澤 大学の時は、よく知らないで本能的にやっていたんですか。
児玉 学校の色見本を参考にしていました。私はかたちが全く出てこなかったんです。色ばっかり先走って出てくる。
入澤 でも卒展で作品を見た時には、かなりキャリアのある人かと思ったんですよ。 バランスといい自然な感じといい。でもあまりたくさんはつくっていらっしゃらなかったんですね。
児玉 そうですね、あの時は未だ3年生で半年に1課題やっていたくらいです。
入澤 「おい!瓢」は、カチッとならずに留めていて、それが面白いなと思ったんです。
児玉 「おい!瓢」も3年生の課題がきっかけでした。特別講師に勝間田千恵子さんが色化粧の先生で来られて、テーブルアートという課題でテーブル全体を何か自分のテーマでつくってくださいと。最初の案はボツ。もっと好きなことをしなさいと言われて、じゃあ私、お酒好きだから酒器をつくろうと。徳利っておじさんくさいのばかりだし、瓢箪のかたちは女性的なフォルムだから、それを生かして。
入澤 先ほど窯入れ中の新作を見せてもらいましたが、新作も女性のボディというか瓢のかたちの流れですね。タイトルの「おい!瓢」というのはどうして思いついたのですか。
児玉 それまで、タイトルは必要ないのではと思っていたんです。でも、藤平伸さんの「雪やこんこ あられやこんこ」を見た時、まず作品を見て可愛らしいと思い、次にタイトルを見て、おおこれやと思ってからは気を使い始めました。タイトルでさらに魅力的と感じられた。私の作品は擬人化しているところがあって、口もつけていたので「おい!」としゃべりそうな気がしたんです。
入澤 口が色っぽいですよね。
児玉 エロいって言われます。(笑)
入澤 だから相当大人っぽく見えたんですね。「おい!瓢」の次は「踊り喰い」。
児玉 瓢箪をやって初めて楽しいと思いだしました。それまで器には目が向いていたんですがオブジェには無頓着で、オブジェはもう学校でしかつくらないだろうと思って、つくったのが「踊り喰い」です。
入澤 3年生まで課題ばかりで、その間やりたいことはどうしていたんですか。
児玉 私は自分から形が出て来ないので、課題からヒントを得ていました。色の部分は自分で。
入澤 児玉さんは大学に入るまでは土に触っていなかったんですか。
児玉 まったく。
入澤 それだと課題を1個ずつクリアして進んできた。
児玉 クリアしていくというより、制約がある方が自分に向いていて、これしちゃいけないんだ、じゃあこれでいこうとなるんです。ダメと言われるほどやりたくなる。
入澤 「踊り喰い」の緑色の作品は2色に掛け分けていますが、これは最初からこの2色でつくろうと。
児玉 1色という発想はなかったです。
入澤 瓢の胴体の部分を違う色で締めている作品もありますね。私達の目に飛び込んで来た他の人と違う感覚というのはその辺のところなのかな。やはり大人っぽかった。
児玉 自主制作でもコンセプトの提出があるので、私の中で課題になっちゃっているわけで。
入澤 そのコンセプトはどういうものですか。
児玉 私はただ、見て気持ちの良いものをつくりたいんです。仕方ないから無理矢理文章にしていました。
入澤 その文字というか言葉について、「おい!瓢」はそうでもないけど、「踊り喰い」とか「ぶつ切りおとと」いうタイトルは相当強い。違和感がありました。
児玉 それは相当言われました。そんなイメージはないんですけど。
入澤 児玉さんは「踊り喰い」から何をイメージしていたんですか。
児玉 残酷、けどおいしい。グロテスクであり、でも当たり前の食習慣。
入澤 「おい!瓢」では作品の口がしゃべり出しそうだったりして、親密なタイトルだったけれど、「踊り喰い」と作品は全然違う。
児玉 私の作品は、ぱっと見て花器や壺と言われますが、私の中で実用面はありません。「踊り喰い」もごちゃまぜなんでもありなイメージなんです。
入澤 「踊り喰い」や「ぶつ切りおとと」はそこで笑いをとるような感じ。そのタイトルじゃなければ、ものすごく作品にはふくらみや多様さがある。私の好き嫌いですけどね。
児玉 私もそれはやめたいと思っています。けどストレートすぎるのもつけたくない。先ほど器をつくっているわけではないと言いましたが、タイトルを考える時に器のイメージが出てくるんです。例えばまんま「大鉢」とつけてあるものがありますよね。それを見ると私はすごく魅力を失くしてしまう。
入澤 そうしたら、素直なタイトルが出て来るまで、何日も放置して無名にしておいた方が良い。児玉さんの作品は曖昧な魅力だと思うんです。その曖昧な魅力を消してしまうようなことはしない方が良いと思います。児玉さんは京都出身ですけど、ご両親もそうですか。
児玉 祖父母も京都ですが、陶芸とは関係はないですね。
入澤 ではお家の影響はないですね。どうして陶芸だったんですか。
児玉 それが今自分でもよくわからないんです。絵を描くのは嫌いでしたけど、立体は好き。彫刻も気になっていたんですが、彫刻のイメージがオブジェだったので、それは違う。専攻を選ぶ時に私はそれを職業にしたかったんです。陶芸は生活に密着している。
入澤 まだ変わるのかもしれませんね。児玉さんは色にこだわっていますけれども、やきものの色にはガラス質や焼き締めの色もありますよね。
児玉 私はガラス質、釉薬の色でやりたい。透明感があって、でもテラテラした感じはない色でやっていきたいんです。やきものである以上やきものらしい色、古典的なイメージも入れていきたい。
入澤 展覧会が楽しみなような、怖いような感じですね。
児玉 私は嫌なことはわかるんですけど、したいことは曖昧ですね。
入澤 それには、たくさんつくってたくさん焼く。まだつくる回数が圧倒的に少ないんです。ただ、今これでいいんだというあなたの完成形に対する感覚はすごくいい。逆にそこからまとめようとすると破綻するので、素直に作品が持っている力に託した方が良いですね。展示も今は白い展示台と作品の間に1枚板のようなものを敷いていますけど、これも無意識にやっているのではないでしょうか。
児玉 そうかもしれません。私は白い部屋や白い展示台が嫌いなのと、作品を際立たせるためにとか、1点1点を区切る境界線のような気持ちで置いていましたが。
入澤 これもすごく意味性を持たせることになってしまいます。児玉さんには、まだ気づいていない事態があるのかもしれませんから、これからもたくさんのものを見るようにして、臨んでくださいね。
作家略歴
1984 京都生まれ
2007 京都市立芸術大学工芸科陶磁器専攻卒業
現在 京都市伝統産業技術者研修在学中
■ グループ展
2006 私事exhibition(太陽事務/京都)、陶6人展(クラフトギャラリー集/京都)

ページの先頭へ

LIXIL Link to Good Living

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.