やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

藤笠砂都子 展 −陶のストリーム−

藤笠砂都子 展 −陶のストリーム−

2007年9月7日(金)〜10月2日(火)

■ 休館日
日祝日
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク

会場にて、制作のことなど作家ご自身に語っていただきます。
2007年9月7日(金) 18:30〜19:00
先着順、入場無料



展示会概要
藤笠砂都子展(Fujikasa Satoko)の作品は、風に飛ばされ、空中に弧を描く流線型にねじれた布や、水が束になって流れ落ちてくるような、有機的なかたちの陶のオブジェです。 高さ約2メートルの大きさがあり、うねる曲線、流れ落ちる直線の美しさは、土とは思えない軽やかさで、空間にダイナミックなムーブメントを描きます。作品から風が生まれ吹き渡り、水が流れ渦になってあるような、土ややきもの、陶芸という言葉をしばし忘れるほどの迫力があります。


藤笠砂都子

Photo:ガレリアセラミカ会場 2007



藤笠さんは東京芸大大学院の研究生です。伝統工芸の盛んな中で、何か自分だけのものを表現したいと考え、彫刻科の交換授業を受けるうちにこうした作品が生まれました。

このシリーズのきっかけとなったのは、故郷山口県の秋吉台鍾乳洞をモチーフにした作品ですが、それは円柱形で、長い時間をかけて滴り落ちる鍾乳石のイメージを複雑な土肌のニュアンスで再現し、クラシカルな中にも凛とした涼やかな感覚が見られました。藤笠さんの作品は、このように動いている力や流れをイメージした、自然の造形の美しさがテーマとなっています。
今展の全体のイメージは「風の吹く場所」。出品作の1点「風」は、アメリカの国立公園の岩をモチーフに制作されました。鉄砲水がどんどん流れて、岩が削り取られ、そこに風も吹き抜け、岩はどんどん変わっていく。その自然のつくり出す流線型に感動して生まれました。そして、もう1点「滝」は、滝がさあっーと上から流れてきて、その下に静かに吹く風がモチーフとなっている作品です。

藤笠砂都子
藤笠さんのタイトルに登場する「風」は、ただ吹く風だけでなく、いつも流れの中にある風です。人も必ず流れの中で生きている、生きるのは楽しかったり、辛かったり、そういうものとリンクさせながら制作をして、見る者に感動を与えられたらと考えています。9月のガレリアセラミカに吹く風はどんな風でしょうか。
藤笠砂都子 藤笠砂都子
藤笠砂都子
インタビュー
2007年7月17日 インタビュー:大橋恵美(INAXギャラリー)
大橋 セラミカに東京芸大の方は久しぶりです。芸大は伝統工芸をやられている方が多かったので。
藤笠 修了展では、思い切ってやってしまった感じです。時代の流れと言うか、オブジェや造形作品、大きいものが持て囃されていると言ったらおかしいんですけど、主になってきていると感じていて、どちらかと言うと伝統工芸よりそっちの方に興味があったんですが、でも、そんなに伝統を離れるわけでもなくて、すごく宙ぶらりんの状況だった。陶芸科に入ってからずっとろくろをやってきて、いまいちピンとこなかった。自分の表現したいものがあるけど、それが上手く繋がらない。それで造形がもっとしたいなと思っていたところに、彫刻科との交換授業があって、つくらせて頂いたのがこの修了制作の作品です。
大橋 東京芸大の卒展を見て来て、大学は基本をきっちり叩き込むというのが印象でしたけど、そんな中で造形をやりたい人が出て来ているということですか。
藤笠 やはりろくろ多いんですけど、卒業制作になると皆何かつくってみたいという気持ちになるようです。
大橋 彫刻科との交換授業は毎年あるのですか。
藤笠 ちょうど私が院2になった時に始まったんです。
大橋 そういう気運が盛り上ったということですね。
藤笠 そうですね。私はろくろじゃないものでとスケッチとかしていたんですけど、それをどういう風に進めて行けばいいのか、技術的な面になると、すごくつくりたいのに骨組みの技術とかまったくわからなくて、困っていた時に交換授業の話が舞い込んできたんです。本当にラッキーでした。
大橋 彫刻科の人も陶芸で何かをつくりたいと思っていたんですか。
藤笠 彫刻の方は主に釉薬に興味があったようで、私が行ってからはろくろに興味を持ったようで、また本焼きとは違う低温のテラコッタの作品で、本焼きの焼き締まった土の作品を私が進めるのを見て、本焼きにも興味を持ち始めて、今年の交換授業では、本焼きに興味のある人が増えていましたね。
大橋 そして初めてつくられたのが「そして静かに積もってゆく」という作品。
藤笠 そうです。もともと各講座に分かれる前に実材実習があって、私はそこで鋳金をとったんですね。私は山口県の出身なんですけど、その時に山口県の秋吉台の鍾乳洞の鍾乳石を思い出し、「静かに降り積もって」の元になる作品をつくりました。鍾乳石は長い時間をかけて降り積もってつくられていく自然の造形ですが、どういうものをつくっていいのか悩んでいた時期だったので、わからないなりにそれをつくろうと取り敢えずやってみた作品なんです。
大橋 鍾乳石の流れて溜まる感じと肌の表情が合っていますよね。そしてかたちが円柱です。
藤笠 はい、この時はろくろから抜け出せていないから。でも表現したいものはできたという感じでした。この作品がきっかけになって、自分のやりたいものをやり切るという点ですごく得たものが大きかったです。
大橋 芸大には何かつくりたいと思って進まれたんですよね。
藤笠 はい、もともと粘土が好きだったんで、迷わず陶芸を選んだんですけど、ろくろと出会って、自由自在にかたちがつくれるので、嵌った時期があったんです。わぁ、楽し いな、ろくろって。でもだんだんに窯から出てきたものが、何か自分の思っている完成のイメージと繋がらなくなった。そこから悩みましたね。
大橋 逆の窯前後のイメージのギャップはないと、他の皆さんからは聞きますけど、でも藤笠さんは違ったんですね。
藤笠 なにかこう言葉では説明できないですけど、何か違う。私がつくりたいのはこういうものではないなと。
大橋 それは技術的な問題ですか。
藤笠 ただのフィーリングです。ろくろはかたちとしては同心円で安定していて、あまり遊べない。その頃、テレビか雑誌かで自然のつくりだす造形というすごく美しいものと出会って、ああこういうものがつくりたいなと思ったんです。そのイメージをつくり出していくのに、ろくろをどうしていいのかわからない、というのとが丁度ぶつかった感じで。
大橋 ネイチャーデザインって意外と放射状であったり、幾何学的であったりしますけど、「静かに降り積もって」という作品も、上から垂れ下がった雫が落下していく感じなので、円柱なのかなと思っていました。
藤笠 そういう感じもあるんですけど、でもこの時は未だ自分でその自覚がなくて、とにかく好きに彫ってみようとしただけなんです。
大橋 そしてこの後、今に繋がる「風」が生まれますね。
藤笠 はい、突然変わりました。
大橋 技術的にも急にすごいですよね。難しい作品ですよね。
藤笠 はい、本当は自分の中ではこんなに大きくなる予定ではなかったんです。
大橋 マケットはつくるんですか。
藤笠 はい、一応こういうのをつくりたいんですと彫刻の教授にマケットを見せたんです。それでいいねと言う事で、そこからどんどん話が膨らんで、本当は自分では90cm位でいいなと思っていたんですけど、彫刻のアトリエに行った時に、助手と博士の方がこれは大きい方がいいでしょうと。そこから骨組みをつくり原型をつくって。すべて手探りの中で彫刻の先生と意見交換をしながら進めて行きました。
大橋 「風」のモチーフはどこからですか。
藤笠 アメリカの国立公園で、鉄砲水がどんどん流れることによって、岩が削り取られていって、そこに風も吹き抜けて、岩がどんどん変わっていくというのがあって、それを見た時にこれだって。自然がつくり出す流線型に本当に感動して、こういうものがつくれないかと思ったのが始まりです。土で動いている力や流れをイメージしながらつくっています。今回の展示のイメージは「風の吹く場所」というのをひとつ想定して、 滝がさあっーと上から流れてきて、その下に静かに吹くそういう風がいいなって
大橋 大きな広い空間で見たいですね。
作家略歴
1980 山口県生まれ
2005 東京芸術大学工芸科陶芸専攻卒業
2007 東京芸術大学大学院工芸科陶芸専攻修了
■ グループ展ほか
2004 第41回杜窯会展(日本橋三越/東京)
2005 東京芸術大学卒業制作展(東京都都美術館/東京)
Cerramic Exhibition 2005(天王洲セントラルタワーアートホール/東京)
2006 2006日韓現代陶芸―新世代の交感展(愛知県陶磁資料館/愛知)
COLOR3人展(ギャラリーシャイン/埼玉)
第43回杜窯会展(日本橋三越/東京)
日中交流「体験」展(東京芸術大学学生会館/東京)
2007 東京芸術大学大学院修了制作展(東京芸術大学大学美術館/東京)
取手市長賞受賞 取手市寄贈
東京芸術大学大学院陶芸科42期生卒業制作展(桃林堂青山店/東京)

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