やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

山口紗矢展 <br>―白い陶 青の痕跡―

山口紗矢展
―白い陶 青の痕跡―

2006年10月5日(木)〜10月30日(月)

■ 休館日
2006年10月18日(水)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク

会場にて、制作のことなど作家ご自身に語っていただきます。
2006年10月5日(木) 18:30〜19:00
先着順、入場無料

photo:「空想海心色」2005 16×51×25cm




展示会概要
2006年10月INAXガレリアセラミカでは、山口紗矢(Yamaguchi Saya)展−白い陶 青の痕跡−を開催します。山口さんの作品は白い土を大胆にノコギリで切りとったかたちを組み合わせたオブジェです。ポツポツと開けられた大きな穴、流れるままのエメラルドグリーンの釉薬が、海の岩場に打ちつける波や潮だまりを連想させるダイナミックな作品です。

以下 photo:INAXガレリアセラミカ会場写真

inax
山口さんは幼少期に過ごした裏山の緑豊かな環境にインスパイアされ、山の土や岩、グランドキャニオンのような地層をモチーフに大きな作品をつくってきました。3年前の大学院の卒業制作展では、岩石のような土塊を数十個重ねて、高さ2m、周囲2mのストーンヘッジのような「view」を制作しました。 自然そのままを模した作品を「やきもの」で表現する作家は他にもいますが、山口さんも太古の時間の流れを内包した土や岩が「肌にぴったりくる」と語り、できたら土そのものを展示したいと言います。その為、できるだけ中を空洞にしないでムクの土を使うので、焼成時の収縮による爆発を避けるために、ポツポツと穴を開けるようになりました。
そのことによって、まだまだ荒削りで力技だった作品が変わり、山口さんらしいリズミカルでみずみずしいコンポジションが生まれました。ポツポツと開いた穴の陶板は、寄せて返す南国の青い海の印象を残して、珊瑚礁のようにも映ります。またどこか漂白されたコンクリブロックのような表情もあって都市も連想されます。
若い作家らしい激しい力強さ、勢いのある色彩と白い土肌のコントラストが魅力です。グループ展や公募展を重ねてきましたが、今展が東京での初めての発表となります。
インタビュー
2006年4月12日 インタビュアー大橋恵美(INAX文化推進部)
大橋 山口さんと出会って3年になりますね。3年前大学院の卒展で、高さ2m直径3mのストーンヘッジかと見紛う作品をつくられていました。大胆な力技だったので男子学生の作品かと思いました。最近ではぐっと作品が小さくなりましたが、あの「view」はどういう想いでつくっていたんですか。
山口 陶芸での土に対して疑問があったんです。私は自然の土や岩が好きでテーマにしているんですけど、陶芸では中が空洞でないと割れてしまうので、そのことに対してずっと葛藤がありました。それであの時は、塊をムクの粘土そのものでつくってしまおうという気持ちだったんです。
大橋 美大に入る前に想像していた陶芸と、そういう風に考えるようになった現実とは、どのように違っていたのですか。
山口 私はそれまで陶芸は一般的なものしか観ていなかったんですね。学校に入ってからは、土そのものを題材として見るようになったのかなぁ。
大橋 迫力ある切り口は、組み合わせた後に土を切るんですか。
山口 そうです。のこぎりで切り取っています。ムクなので窯に入れた後、メチャクチャ爆発したりするんです。それもあって、ポツポツ穴を開けた作品をつくるようになりました。つくってみてそのテクスチャーが面白いなと気づいたんです。私はまずマケットをつくっているんです。
inax
大橋 マケットをつくっていたのなら、作品が50cm四方に小さくなったのも、そう大変なことではないですね。
山口 そうですね。現実問題として小さな作品をつくるようになりましたが、でもできるなら大きな作品をつくりたいです。
大橋 今までは土の色、岩の色そのものでしたが、ここで初めて青い釉薬が出てきましたね
山口 単純な話なんです。ちょうど沖縄に行き始めた頃で、青い釉薬は器の作品では使ってはいたんですが、その色とオブジェで使いたい色がたまたま一致したんです。 海の色や自然の色と自分の心の中にあるものがマッチングしたんです。釉薬の研究も一応授業の中でありましたけど、その頃は釉薬には全然興味がなかった。土の色そのものが魅力的でしたから。
大橋 土も変わって白色になったので、今までのお話から連想すると珊瑚にも似て見えますね。
山口 そういうものを観ることも好きなので、影響はあるのかもしれない。ポツポツの作品のタイトルも「空想海心色」とつけましたが、それはどうでも良いことで、私は話すのがへたなので作品を見てそれぞれに感じてもらえたら、それでいいです。
inax
大橋 小さな岩や石を模した作品もありますが、骨とか化石みたいなものも好きですか。
山口 好きですね。骨や貝というよりも、珊瑚テーブルのような塊状のものが好きですね。
大橋 「空想雲心色」はこれまでつくられた岩のような塊を平たく潰して、そこにポツポツ穴を開けたようにも見えますが、さらに三角や直線でそのかたちを分断されていますよね。
山口 この時はなにを考えていたんだっけ。忘れちゃった。(笑)これは珊瑚や岩場の水か潮だまりのようなものをイメージしていたんです。この頃はすごく迷いがあった頃でした。 自分でも大きな作品の時のように、もっとたくさん積み上げたいという気持ちがまだあったので、その代わりといった気持ちもあったのかもしれません。
大橋 かたちも切り取り方が、グローブみたいだったり、雲や動物が走っているように見えたり、変化があって楽しかったです。で、今展の出品作が出来かかっているのをここで見ると、またスクエアな陶板みたいになっていますね。
山口 はい、新作です。厚さ10cm位の陶板を5枚位壁に並べたいと思っているところです。それから高さ2mの細めの棒状のものを3点考えています。私は展覧会が決まってから、こうしたいと考えてつくり始める方で、次は何をつくりたいというのもありますけど、いきなり土に向き合ってつくり始めるんです。
大橋 お話を伺っていると、山口さんは一見繊細に見えて実はかなり大胆な方ですか。
山口そうですね。装飾とか「ちまちまして」と思ってしまう方ですね。でも、人の細かな作品を見るのは好きですよ。私には出来ないなぁと思いながら見ています。
inax
大橋 今、やきものという、技術の必要な素材を敢えて選んでいる若い作家は、自分のつくりたいものが先にあって、その適切な表現方法として土という素材を選んでいる方が多いのですが、山口さんはその中では少ないタイプですよね。
山口 私はペースが落ちないとよく言われます。卒業すると生活との両立があって陶芸一辺倒になりにくいらしいのですが、私はそうならないように、仕事もやきもの教室を選んでいるのですが、土から離れるのが怖いのかもしれないですね。
大橋 独立して窯を構えることを考えていますか。
山口 いつかはそうなると考えています。それで自分を変えたいとも思っているんです。 公募展にも毎年出しているんですけど、まだなかなか通らないですね。去年ようやく入って。私の後の11月にセラミカで開催予定の高田美智子さんが、学校では同期だったんです。 高田さんは社会人学生だったので、すごく刺激になりました。お母さんみたいと言うとよく怒られるんですけど、結構相談に乗ってもらいました。
大橋 すごくエネルギーのある方ですよね。
山口 はい。電話すると「つくりや、つくりや」、「頑張ろうね、頑張ろうね」と言われます。
inax
大橋 高田さんは仕事でもキャリアのある方で、それをやめて陶芸に賭ける時の迫力は、高校から大学へ進んだばかりの学生には圧倒的だったろうと思います。
山口 もう声を聞くだけで励まされます。私はまだそこまで賭けていないですから。これからですから。
大橋先ほど山口さんは大きな作品をまたつくりたいと話されていましたが、山口さんの人が二人位寝られる程大きな珊瑚礁みたいな作品も見たいです
山口 はい、また屋外で作品をつくりたいです。
大橋 山口さんはずっと京都在住ですか。
山口 京都で生まれて、小さな時は滋賀県にも住んでいました。今、実家は滋賀県なんです。子供の頃からいつも外で遊んでばかりで、生キズの絶えないタイプでしたね。家の裏山で友達と遊んで、葉っぱを食べたりしていました。 土もそこから来ているのかも。学生の時に一回だけアメリカのグランドキャニオンに行ってみたことがあるんです。その時はすごくそそりました。忘れられないですね。
inax
大橋 土の断層そのものの美しさ、存在感ですよね。山口さんにとって、土を焼くというのはどこから来ていると思いますか。
山口私は焼かなくても良いと思うんです。生の色が好きで、そのまま保存できれば良いのですが、そうもいかないので焼くのかもしれないです。授業で石彫なんかもあったんですけど、何日かけても私の思うかたちになってくれませんでしたね。紙では重みがないし。土は触った時の感じがぴったりするんです。やっぱり土ありきでつくっている。
大橋山口さんのダイナミックな作品を楽しみにしています。
山口楽しみです。頑張ります。
作家略歴
1978 京都生まれ
2001 京都精華大学芸術学部造形学科陶芸専攻卒業
2003 京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻卒業 現在 京都にて制作
■ 個展
2001 art spaceF:1(大阪)
2002 ギャラリーマロニエ(京都)
2005
■ グループ展他
1999 京都精華大学陶芸専攻科ニ回生展(ギャラリー紅/京都)
2000 京都精華大学陶芸専攻科三回生展(ギャラリーマロニエ/京都)
DTD三人展(ART-BOXアンフェール/京都)
2002 くもりのち晴れ 大学院1年生展(京都精華大学ギャラリーフロール/京都)
2002 ART.univ 2002(京都キャンパスプラザ/京都)
Novena懐石 薄茶展(修学院荘/京都)
2002 くもりのち晴れ 大学院1年生展(京都精華大学ギャラリーフロール/京都)
2002 ART.univ 2002(京都キャンパスプラザ/京都)
Novena懐石 薄茶展(修学院荘/京都)
2003 涼々陶器展(京都クラフトセンター/京都)
第二回京都たち吉クラフトコンペ奨励賞(京都)
2004 新生−Future Creative Ceramics−展(海岸通ギャラリーCASO/大阪)
土鍋を囲む器展(京都クラフトセンター/京都)
京都府美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館/京都)
少年陶芸探偵団展(盃美術館/岐阜)
長皿展(クラフトギャラリー玄/京都)
思いを注ぐ器展(京都クタフトセンター/京都)
第三回京都たち吉クラフトコンペ入選(京都)
陶箱展(クラフトギャラリー玄/京都)
2005 The 1st International Triennial of Silicate Arts(Hungary)
花器展(京都クラフトセンター/京都)
第7回国際陶磁器展美濃入選(岐阜)
陶展(クラフトギャラリー集/京都)
陶四人展(陶器ギャラリー風紋舎/京都)
陶箱展(京都クラフトセンター/京都)

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