やきもの展 GALLERY3




展覧会案内

畑絢子 展 ― ツキノハナの陶景 ―

畑絢子 展 ― ツキノハナの陶景 ―

2006年7月6日(木)〜7月31日(月)

■ 休館日
7月19日(水)
■ 開館時間
10:00〜18:00
■ 観覧料
無料

アーティスト・トーク(終了しています)

会場にて、制作のことなど作家ご自身に語っていただきます。
2006年7月6日(木) 18:30〜19:00

photo:INAXガレリアセラミカ会場写真




展示会概要
畑絢子(Hata Junko)さんの作品は、月光に開花した白い花が風にゆらゆらと揺らめくさまを表わした陶によるインスタレーションです。
作品「ツキノハナ」は、白磁土を型成形でごく薄い平皿のような花形につくり、直径1mmの針金を茎に見立てて、その上に立てたものです。これを1輪であるいは群像のようにして展示します。花弁の重みに針金がしなり、いつも風が吹いているように揺れているさまが緊張を孕んで、幻想的な光景をつくりだします。タイトルも「月跡」や「宙ノ路」などとも名づけられ、空にのぼっていくような浮遊感と月の冷たく輝く表情がそのイメージとなっています。

畑さんは金沢美術工芸大学を卒業後、朝日陶芸展などで受賞、現在は広島県を中心に活動をされている若手作家です。2005年に展覧会を開催して、今回が2度目の開催となります。INAXガレリア セラミカはより多くの方々にチャンスを設けたいと、1人1回の開催を原則としていますが、前回開催した時の空間を変貌させる大きな力に、今回新しい銀座会場で改めてその作品を見たいと白羽の矢を立てました。「ツキノハナ」は1点が、青白い花が銀粉をまとったかのように輝き存在感を発している作品ですが、群像になるとまた風景のような迫力を増します。
まだここにない陶景へ

INAX文化推進部 大橋恵美


INAXガレリアセラミカは、若い世代の陶芸作家の企画展を開催しているが、11年目にして会場を移転することになった。若い世代というのは、自分らしい作品が生まれてきたばかりの作家の卵という意味合いであり、初個展である場合が多い。または、作風が変わったエポックメーキングな機会だったりする。展覧会の経験の少ない作家にとって、展示する空間を考えることは、作品を考える以上に難しい課題となる。展覧会をするということは、はじめて自分の作品を客観的に考えるということだ。ベテラン作家ほど空間と作品の関係性を知っていて、頻繁に会場を見に来る。それぞれが「ここで」「あそこで」「自分だったら」「この作品だったら」と幾度も頭の中でシュミレーションをしている。
畑洵子もそういう一人として2005年に移転前のINAXガレリアセラミカで個展を開催した。美大で陶芸を始めて10年目、公募展で受賞し、地元関西での個展も経験していた。展示イメージもすぐに固まり、「ツキノハナ」が会場を埋め尽くしたさまは、百花幻想だった。会場内に観客を導き作品の中を歩いてもらいたい気持ちと、月下の花群をあこがれの距離の外側から眺めて欲しいのかと、その儚さゆえの危さと、ふるえるような未知の光景を思って。主催する私たちは舞台が小さすぎることを嘆いた。



月光に開花した白い花の大群がゆらゆらと揺らめく。薄い花びらが仄白い陰影をまとい、静かにたゆたう。「ツキノハナ」は白磁土をごく薄い平皿のような花形に型どり、直径1mmの針金を茎に見立てて、その上に立てたものである。これを1輪であるいは群像のようにして展示する。土の花弁の重みに針金がしなり、支えるぎりぎりのバランスで、そこに微風がおこったように揺れている。息を呑んで、息を殺して覗き込む。月面上の花畑か、月の蒼い光だけが届く深山の花郡のような幻想的な光景をつくりだした。タイトルも「月跡」や「宙ノ路」などと名づけられ、いずれも空にのぼっていくような浮遊感と月の冷たく輝く表情がそのイメージとなっている。

型成形なのに、微妙に同じかたちにならないやきものの性質によって、自然界の花のように多様性をもったかたち、白磁土にアルミナという離溶剤を使うため、その残滓が降りかかって銀粉をかぶっているように見える肌。あらゆる素材が揃っている現代、陶芸という方法を選ぶ若手作家のほとんどが、土の魅力に鷲づかみされるようにとらえられてしまったことを語る。畑は土のなかでも特に土の透過性の魅力をあげている。作品のなかには照明器具のように、磁土をごく薄くして電灯などを仕込み、土肌を透かして見せるものもある。プラスティックやアクリルにはない土肌の、柔らかで温かみのある光が漏れてくる。畑は透過性を研究するうちに、自分が望む薄さや軽さをつくることが可能になった。ありえない光景の出現に、一瞬、私達はそれが土なのかやきものなのかを問うことも忘れて見入ってしまった。

あのゆらぎをまた見たいと思った。空間が変容した時、どんな表情を見せてくれるのだろうかという誘惑にかられて、2度目の白羽の矢を立てた。新会場は2年前まで長い間美術表現の火花が飛び散ってきた場所だったから、そこの地霊と充分に交信して、土のやきものの魅力を余すところなく伝えて欲しい。きっと多くの観客を魅了する。

作家略歴
1976 京都市生まれ
1999 金沢美術工芸大学 産業デザイン学科 工芸デザイン専攻 卒業 同大学院入学
2001 金沢美術工芸大学大学院 美術工芸研究科 修了
2003 第41回朝日陶芸展 秀作賞 受賞
現在広島市在住
■ 個展
2001 ギャラリーそわか(京都)
2004 リベラルアートJPN(広島)
2005 INAXガレリア セラミカ新宿(東京)
■ グループ展
1998 伊丹国際クラフト展
2000 第38回朝日陶芸展
 第3回出石磁器トリエンナーレ
2001 第19回朝日現代クラフト展
2003 畑絢子+嶋田朋子二人展「behind in this big blue world」ヱビデンギャラリー(広島)
第41回朝日陶芸展
2005 第3回世界陶磁器ビエンナーレ(韓国)
ふなばし現代美術交流展‘05 物語が生まれる所(千葉)

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