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LIXIL ブックギャラリー 新刊案内 20
「ルデゥーテとバラの物語」

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 ボタニカルアートといえば、すぐに彼の名前は思い出さないにしても、繊細で美しくロマンチックな雰囲気をまとったバラの絵を思い浮かべる人は多いかもしれない。彼のバラの絵は、文具やテーブルウェアにもモーチフとして多用されており、現代でも大勢の人の目に触れる機会が少なくない。
 彼の名前は、ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ。18世紀後半から19世紀前半にフランスで活躍した植物画家である。フランスブルボン王朝最後の王妃マリー・アントワネット、またフランス帝国皇帝ナポレオン・ボナパルトの最初の妻であるジョセフィーヌ。時代に翻弄されたこれらの2人の女性から重用された稀有な経歴の持ち主である。

 時代を超えて、なぜ彼の描く植物画が多くの人を惹き付けてやまないのか。それは、本書にエッセイを寄稿している奥延氏の「どれほど正確無比に描かれていようと必ずそれに惹かれるとは限らない。現実の姿を超え理想の姿を描こうとしたからこそ、超現実的な花のイコンになった」という言に集約されているように思う。私達が目にしているルドウゥーテの絵は、私たちが心に描く理想の薔薇像であり、それらは叙事的でも抒情的でもある。
 本書は単なる画集という訳ではなくて、マリー・アントワネットとジョセフィーヌの恋のエピソードなども紹介されていることから、さらにその花としての物語性が強調され、花の美しさと相まってロマンティシズムが掻き立てられるようである。

 ルドゥーテの画集は、『薔薇図譜』と『美花選』が、豪華な大型本と求めやすい普及版で出版されている。本書は、絵の美しさを楽しめるのはもちろんのこと、文庫サイズでさらに手に取りやすくなっているのが魅力。


ルドゥーテとバラの物語/中村美砂子/303ページ/青幻社/\1,500+税

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