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LIXIL ブックギャラリー お勧めの本 13
「一汁一菜でよいという提案」

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 「人間の命の働きが愛情であれば、自分のことではなくて、おそらく自分以外の人(命)のために、何かをしたと思うのです。(中略)すでに仕事となっていることも、はじめはすべて無償の行為だったのです。その行為は、家族の喜びのため。自分以外の人が喜ぶことを楽しみにしたのだと思います。」(本文より)


 1度でも料理をしたことがある人なら、料理は自分1人のためだけにするよりも、自分以外の誰かのためにできるなら(自分の愛する人のためにならなおさら)、喜びも満足も大きいことを体験したことがあるのではないでしょうか。
 しかし、情報も物もやらなければならないことも、あまりにも多く、あふれすぎている現代のような状況では、日常の料理自体がおっくうで面倒なもの、苦役でしかないと感じている人が多くいるのも事実でしょう。

 そこで著者が提案しているのが、「一汁一菜でよい」なのです。食事は一汁三菜、品数を多くバランスよくできるだけ豊かにという方向に進んできた中にあって、はっとさせられる提案です。手を抜こうと主張しているのではないのです。一汁一菜は、食事の基本であり、原点です。余裕があれば、プラスすればよいのです、と著者は言います。

 本書は、もちろん料理の本でもあるのですが、レシピ集でも指南書でもありません。言うなれば、料理について語りながら、考え方、生き方を大切な基本と原点に戻してくれる哲学の本なのです。著者は、料理研究家の土井善晴氏。やさしい言葉と流れるような文章は、そのまま著者の人柄を表しているのでしょう。

 私達は、食べることなしに生きることはできませんし、生きている間は食べなければなりません。大切な食事を中心に置いて大切に扱う、簡単に見えるただそれだけのシンプルな行為によって、見えてくるものが意外と多くあるように思います。


一汁一菜でよいという提案/土居善晴/192ページ/グラフィック社/\1,500+税

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