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「キルヒャーの世界図鑑」

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 アタナシウス・キルヒャーという人物を知っている人は多くないかもしれない。ウィキペディアから引用抜粋して要約すると以下のような人物である。

「17世紀ドイツ出身の学者、イエズス会司祭。幅広い分野で優れた業績を残し、当時ヨーロッパ学会における最高権威であったが、デカルトなど合理主義の立場から批判にさらされ、その後忘れ去られていた。20世紀後半になって業績の先進性と多彩性が評価されるようになり、遅れてきたルネサンス人とも呼ばれるようになった。」
 しかし、上の文章を読んでも結局何を行って後世に名を遺した人物なのか、ほとんど理解できない。博識で、興味や関心が途方もなく広かったことから、カテゴライズできない面もあるらしい。「伝染病がなんらかの微小生物によって引き起こされるという考えをはじめて実証的に示し、その説にもとづいた予防法を提案」した人物であることは評価されているようだ。

 しかし、キルヒャーの面白さは評価されている業績にあるわけではないのだろう。エジプト神聖文字の読解においては、逆に間違いのため研究を遅らせた張本人に他ならない。ならばキルヒャーの興味深い点は何か、これを紹介しているのが本書である。

 解説者として本書巻末に登場している荒俣宏氏によると、ルネサンス以降、芸術と科学の分野では図示・図解が重要視されるようになった。レオナルド・ダ・ヴィンチを思い浮かべて頂くと解りやすいのではないだろうか。
 そして、この時代の代表科学者キルヒャーも多分に漏れず盛んに図解を行っている。しかし、現代ほど発達しておらず、魔術的で神意を見抜くことが目的だった科学。キルヒャーの図は奇想的でも空想的でも幻想的でもある。
 ノアの方舟、バベルの塔、星座など、森羅万象の図は絵本のように眺めても、一枚一枚をじっくり観察しても奥深くて時間を忘れてしまう。この時代の様子や考え方を理解する上でも重要な参考資料である。書棚にあると、風変りで目を惹く1冊である。


キルヒャーの世界図鑑/ジョスリン・ゴドウィン著/318ページ/工作舎/\2,900+税

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