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「素手時然」

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 無印良品が誕生して今年でちょうど35年という。35年前といえばバブル経済が始まる前の時代。良し悪しは別としても、世の中は、派手・華美・過剰な方向へ向いていた。
 そんな中での、余計な装飾を排除し、機能性を追求したシンプルな製品を作る会社の誕生は、アドバイザリーボードメンバーの小池一子氏が述べる通り、「時代に棹差す」出来事であったのかもしれない。
 時がたちバブルは崩壊、日本は未曾有の不景気に突入し、災害をも経験した。人々の考え方は大きく変わった。しかし、無印は変わらずにその理念を持ち続け、現在でも何かしら無印の製品を多くの人が使っている。
 そして、「ノーブランド」という名前に反して、日本だけではなく世界で愛されるブランドとなっている。ディレクターに先見の明があったなどと評ずるまでもなく、理念やコンセプトが人間の生き方の本質に沿っていたからこそ、こうして広く浸透しているのは確かだろう。

 「これでいい」というのが無印の考え方だそうである。「これでいい」と言葉にすると、「本当はもっと良いものがあるけれど、あきらめてこれを」という、むしろ否定的ニュアンスも含まれるだろう。しかし、赤塚不二夫氏の作品「天才バカボン」の名言を引用するまでもなく、「これがいい」のではなく、あえて「これでいい」のだ。
 ひたすら進歩を追い求め、向上を目指すのではなく、与えれたものをそのまま受け入れ満足するという受容と諦念の姿勢がここにはある。これが現在の世相とマッチしているのではないだろうか。

 「素手時然」は「そしゅじねん」と読む。無印の根本理念を表す4つの漢字をそれぞれの章として、「人々のより良い「生」と「くらし」への思いを伝える」150の文章と100の図版を集めた書籍である。様々な作品の断片、断章ではあるが、だからこそ含蓄深く、浮かび上がる世界観がある。



「素手時然」小池一子・原研哉責任編集/平凡社/224ページ/2,000円+税

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