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LIXIL ブックギャラリー 新刊案内 13
「美貌帖」

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 金子國義という名前を耳にしたことがなくても、エロティックでデカダンかつ耽美的雰囲気に満ち満ちた特徴ある独特の絵は、何かの機会に目にしたことがあるのではないだろうか。最も知られているのは、「不思議の国のアリス」の画集と挿絵かもしれないが、シェイクスピアやポール・ギャリコの文庫版など、書籍の装丁も数多く手掛けているので、それを通じてご存知の方も多いだろう。

 本書「美貌帖」を上梓した翌月、画家、金子國義は今年3月17日に78歳で亡くなっている。自伝を書きあげてから程なくしてこの世を去るというめぐり合わせを著者が予測していたかどうかは私達の知るところではないが、「明日はない、と思って今日を生きることを大切に考えている。」と本書中で述べている。

  「芸術は遊びの精神からでてくるものだと今でも信じてやまない。」というのが本書あとがきの最初の一文である。この文章に著者の自伝のすべてが集約しているように感じられる。
 裕福で恵まれた環境で美しいもの、様々な芸術に触れて育ち、人生を左右することになる人々――澁澤龍彦や生田耕作――との出会いがある。正に、こうして「金子國義」という画家は誕生したのだなと、しみじみ納得のいく内容である。
 もちろん本書の装丁も自身で行っている。著者の描いた絵のカバー画に、そのカバーを取り外すと著者の撮影したカバー画の実写版が見えるという、非常に凝ったつくりになっている。

 



「美貌帖」金子國義著/河出書房新社/2,600円+税

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