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LIXIL ブックギャラリー 新刊案内 4
「排泄物と文明」

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 本書の原題は「The Origin of Feces(糞便の起源)」であり、説明として「What Excrement Tells Us About Evolution, Ecology, and a Sustainable Society」と書かれている。ダーウィンの「The Origin of Species(種の起源)」を韻まで踏んでもじったものであり、邦題の「排泄物と文明」は訳者が原題に付された説明の意味を含めつつ本書に冠したものある。
 著者のデイビッド・ウォルトナー=テーブズは、獣医師、疫学者、作家、詩人であり、「国境なき獣医師団」の創設者だ。世界中を駆け巡り、動物や昆虫のみならず、人間の排泄物についてまで様々な調査・研究を重ねている。

 本書では、まず言語的側面からの排泄物についての考察に始まり(つまり、排泄物の呼び名である糞、うんち、クソなど)、その成分と起源、社会の中での役割、歴史的文化的意味と問題を考察する。最終的には、生物すべてが循環する生態系つまり自然の中での位置について解明していく。
 著者は、現代の世界が抱える問題は糞便により引き起こされている、などと説く。人間はかつては糞便も肥料として利用することで生態系の調和の中で循環してきた。都市化と人口集中により、排泄物を不要・不潔な廃物としてのみ扱い処理するようになったことは、科学による生態系への介入にほかならない。このことが生態系自体の調和とバランスを壊しており、現在の環境、エネルギー問題、疫学的問題に繋がっている――。
 我々「動物、植物、生きとし生けるのものすべて」は、生きている限り排泄をせずにはいられない。この事実と排泄されたモノを水に流したり目を背けたりすることなく、どう考えるかという根本的哲学的視点を取り戻すことでしか問題は解決されない、と作者は警鐘を鳴らす。

 様々なデータと数字に基づいた専門的内容ながら、扱っている対象が対象だけに、どこか諧謔(かいぎゃく)を交えた語り口で(これは訳者による貢献も大きい)、面白く読むことができる。深く考えさせられる書籍である。

「排泄物と文明」 デイビッド・ウォルトナー=テーブズ著/片岡夏美訳/築地書館/¥2200+税


 ※当ブックギャラリーを経営する鰍kIXILは衛生陶器(便器)メーカーでもあるため、当店には排泄物やトイレに関する書籍が数多く取り揃えてあります(下記写真参照)。これを機会に様々な書籍を手に取り「ウンチ」についても思索を深めていただきたく思います。

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