ブックフェア情報

東京・LIXILギャラリー1での展覧会開催会期中に、 企画展関連書を集めたブックフェアを行っております。 「品切れ」以外の書籍はフェア期間中に限り、ブックギャラリー 店頭でお求めいただけます (地方発送は致しかねます)

言葉・ことだま・メッセージ 2014年9月1日(月)〜10月31日(金)※終了しています

「言葉・ことだま・メッセージ」

伝えたい想いをことばに。

オリジナルブックフェア

ブックフェア情報
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 言霊を信じますか?信じても信じなくても、ことばには力が宿っています。言葉の楽しさ、言葉の恐ろしさ。言葉遊び、学問としての言葉、生活の中の言葉、名言。笑える楽しい本から、感動する名言集、詩集、真面目に言葉に取り組む本などをセレクトしました。さまざまな「ことば」について考えるきっかけにしてください。


「老子の無言」田口佳史著/光文社知恵の森文庫
 老子の思想では、多言は嫌われ不言が推奨されます。言葉で表現した瞬間に、言葉にしなかったものは零れ落ち失われてしまう、言葉は不確かで不完全なものであるという考え方です。著者はこれを「老子の無言」と表現し、本書の題名としています。
 慶應MCC『agora』(アゴラ)において、著者が行った講座をまとめたのが本書です。著者の田口佳史氏は東洋思想研究者ですが、かつて映画監督や経営者としても活躍した人だそうです。そのため、老子思想へのアプローチは、学術的文献的というよりも、むしろ具体的実践的で身近なものです。老子の言葉が引用され、非常にわかりやすくやさしく解説されているため、老荘思想の入門書として楽しみながら読むことができます。

「弱いつながり 検索ワードを探す旅」東浩紀著/幻冬舎
 著者の東浩紀は『存在論的、郵便的』(1999年)で、”ポスト浅田彰”と目された人物です。以来15年、作家・批評家として、また現在は実業家(株式会社ゲンロン代表)としても活躍している著者が、7月に著したのが本書です。
 前出の『存在論的・・・』は、フランスの哲学者ジャック・デリダの思想を解説する自身の博士論文であり、専門家でもなければ理解するのが難しい内容ですが、本書では「哲学とか批評とかに基本的に興味がない読者を想定した本」と著者が述べる通り、彼の思想が誰が読んでも理解できるよう非常に分かりやすく平易な言葉で書かれている書籍です。
 表題となっている「弱いつながり」とは、現在の自分とは関係のない遠くの現実から偶然得られるリアルな関係を指します。常識的には、現実世界の関係は強く、ネット世界の関係は希薄で弱いと考えますから、全く逆に著者は解釈しているわけです。  これは著者独特の逆説なのか挑発なのか、はたまたパフォーマンスなのか――。思想はそのまま、著者の生き方に反映されているようです。今後得られる弱いつながりから、著者の活動がどのように広がっていくのか、目が離せません。

「言霊とは何か」佐佐木隆著/中公新書
 言霊(ことだま):言葉に宿っている不思議な霊威。古代、その力が働いて言葉通りの事象がもたらされると信じられた。――『広辞苑』より引用。
 古代の人々はこの言葉通りにそのように信じ、ことばに信仰を持っていたのか。この事実を確かめるために、『古事記』『日本書紀』『風土記』『万葉集』のことばについて記述のある箇所を一つひとつ取り上げ、丁寧に丹念に検証したのが本書です。結論として、古代においては、ことばの威力は神だけにに属するものであったが、近世(江戸)になって、神とは関係なくことば自体に霊力が宿ると考えられるようになった、と分析しています。
 思い込みからではなく、常に客観的に事実を積み重ねていこうとする著者の筆致には好感が持てます。それゆえ文献から浮かびあがってくる事実と結論にも説得力があります。

「言葉と無意識」丸山圭三郎著/講談社現代新書
 著者の故丸山圭三郎は、スイスの言語学者ソシュール研究の第一人者であった人物です。本書は1987年に出版され、長く読み継がれています。著者は、言語とは何か、言語を作り出す人間の意識とは、また意識の深層である無意識とは何か、これらのテーゼを、自身のありとあらゆる知識を動員して考察します。その中で、ソシュールという人物と思想も紹介され、最終的には、現代の西洋合理主義、科学主義の批判へと向かっています。
 様々な思想家とその思想の紹介、著作からの引用がちりばめられ、教養文庫でありながら決して読みやすくはなく難解なのですが、主要な思想が網羅され、その片鱗に触れることができるため、言語哲学、また近現代言語学の思想地図を学ぶに当たって、是非お勧めしたい書籍です。

「ちゃんと話すための敬語の本」橋本 治著/ちくまプリマー新書
 「敬語が乱れている」「言葉の使いかたが変だ」との主張が多い昨今ですが、本書はそういった敬語の乱れを指摘する類の書籍ではありません。「そもそも敬語とは何なのか」を考察しているところに本書の妙味があります。
 なぜ敬語を使わねばならないのか、敬語が生まれた背景は何なのか。懇切丁寧に誤りを指摘される機会には恵まれても、根本的な意味を考えさせてくれる機会は少ないのではないでしょうか。「そもそも」論から考え理解した方が、問題の解決には役立つこともあります。さらに著者・橋本治は、この本の読者を10代前半に設定して、平易な言葉と語り口で説明しています。本当ならムツカシイ問題を、誰にでも理解できるよう易しく解説。色々な意味で学ぶことの多い1冊です。

「談志のことば」 立川 志らく著/徳間文庫
 3年前に逝去した天才落語家、立川談志が折に触れて何気なく語った言葉を、弟子の一人である立川志らくが「名言」として紹介し、語られた当時の状況などについて解説しています。最も身近な弟子の一人である著者から談志について聞くことができるのは、談志ファンにとって貴重な機会でしょう。
 談志の味わい深い言葉の数々もさることながら、本書から伝わってくるのは、著者の談志師匠に対する深い深い愛情です。著者が、どれほど師匠を尊敬し、敬愛しているのか、本書のどの章からも感じとることができます。これほど心酔できる人物がこの世に存在することに羨ましさすら感じます。著者により「おまけ」として付されている、談志師匠から愛弟子への言葉「真打認定書」も深い愛情が込められたものだと思います。

「文体練習」 レーモン・クノー著/朝比奈弘治訳/朝日出版社
 「地下鉄のザジ」の作者としてよく知られるレーモン・クノーが1947年に発表した作品が50年余りを経て邦訳されました。「バスの中で見かけた一人の男を、再度駅の広場で見かける」――。ただ一つのそれだけの出来事を、99通りの方法で記述するという、バッハの変奏曲にも例えられる途方もない言葉あそびを実践してみせた書籍です。
 読者はまず、99通りもの言い方があることに驚くでしょう。その変奏の定義は、「主観的に」「白昼夢」「漸増方式による文節の置き換え」「語順改変」などなど、定義を眺めるだけでもそのアイデアの奇抜さに興味を引き付けられます。複雑な文法にのっとったこの書籍が翻訳されたこと自体にも驚きを禁じえませんが、原文の雰囲気を伝えるべく工夫に工夫を重ねられた翻訳にも感動を覚えます。レイアウト、装丁も、内容に合わせて凝ったものになっています。言葉の持つ、力、深淵、恐ろしさに驚嘆し、思索を深めずにはいられない書籍です。



100冊あまりの書籍を集めています。
順次ご紹介して参りますので、どうぞお楽しみに。

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