ブックフェア情報

東京・LIXILギャラリー1での展覧会開催会期中に、 企画展関連書を集めたブックフェアを行っております。 「品切れ」以外の書籍はフェア期間中に限り、ブックギャラリー 店頭でお求めいただけます (地方発送は致しかねます)

旅いろいろ 2014年3月1日(土)〜4月30日(水)※終了しています

「旅いろいろ」


目的いろいろ 行き方いろいろ

オリジナルブックフェア

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様々なジャンルで活躍する人々の様々な旅の記録を集めました。この人、この筆者だからこそ生まれる視点から切り取られた、いろいろな場所、いろいろな旅の記憶をご堪能ください。


「旅行者の朝食」米原万里/文春文庫
 ロシア語の同時通訳者として活躍し、エッセイ集「不実な美女か醜悪な醜女か」で読売文学賞を受賞。その後もエッセイスト、作家として人気を集めた故・米原万里が、世界中の食と食べ物についての書いた37編のエッセイ集です。
 目次を見ると、Overture、 第一楽章「Russian Rhapsody」、Intermissonをはさんで、第二楽章「Andante Mangiabile」、Interludeをはさみ、第3楽章「Largo」と、音楽形式になっています。何といっても米原万里のエッセイの魅力は、彼女の物事に対する鋭い視線と忌憚(きたん)のない語り口にあるでしょう。飽くなき好奇心と探究心、分析、皮肉、毒舌、ユーモア。そんな彼女の文章に魅かれて著作を手に取る方も多いのではないでしょうか。
 本書の題名となっている「旅行者の朝食」は、ロシアにかつてあった「あるもの」の名前です。ロシア人なら誰もが知っている小噺に「落ち」として登場し、必ず爆笑を誘うその「あるもの」が、いったい何を意味するのか。長年疑問に思っていたその謎を解いていく経緯を、米原は面白おかしく、そして深く明かしていきます。何気ないものごとからユーモラスで含蓄ある文章を綴ることができる彼女のような書き手が、早々(2006年5月没)にこの世を去ってしまったことが残念でなりませんが、この書籍も期待を裏切らない1冊です。


「船の旅 詩と童話と銅版画 南桂子の世界」 南桂子/筑摩書房
 銅版画家の南桂子。彼女の作品はユニセフのカードやカレンダー、詩集の装画にも採用されているほか、帝国ホテルの客室にも飾られているので、名前を聞いたことがなくても作品を目にしたことがある方も多くいることでしょう。2011年が生誕100年にあたり、本書と同名の巡回展が全国で開催されました。
 南の銅版画は、特有の繊細な線で描かれた少女、花、鳥、魚などが特徴です。作家の小川洋子は「そこにはどんな言葉も届かない、深くて澄んだ空気が流れている」と評するほど。童話については坪井栄に学んだそうですが、本書に収められている10編の童話にも、銅版画作品と同様の静謐さが漂っています。生前は埋もれていた童話と版画、両方を本書で味わっていただきたいと思います。


「エコのイタリア案内」Cウンベルト・エコ編 谷口勇訳/而立書房
「薔薇の名前」「フーコーの振子」などの著者として知られるエコが、1967年に編んだB5版の書籍。イタリアの歴史・文化・伝統を感じさせる絵画や図表、写真などの資料、またそのコラージュに短い説明文をつけた作品です。
本人が「私的かつ自由な観点」から選んだと序文で記す通り、その目次も「生と死」「共同生活」「宗教」というように、あくまでエコ自身の独特な視点が示されます。哲学者であり中世研究者であったエコの作品には、随所に聖書・歴史・文学からの引用が直接的・間接的にかかわらず巧妙に散りばめられており、それが彼の作品の魅力でもあり難解でもある所以なのですが、「薔薇の名前」によって世界的に有名になる10年以上も前に世に出したこの作品も例外ではありません。日本では1988年に翻訳出版されています。ベストセラーになるような書籍ではありませんが、当店では地味に売れ続けている作品です。


「ヨーロッパ退屈日記」 伊丹十三/新潮文庫
俳優や映画監督として活躍した筆者が、20代後半だった1961年から数年間、雑誌に連載したエッセイ。グラフィックデザイナー、編集者でもあった伊丹が本書の挿絵、カバー装画を自身で手がけており、筆者のマルチな才能が伺えます。エッセイでは、一貫して「正しく感じること」に重きを置いた筆者の思想に触れることができます。「旅」という言葉からは、動き回るという「動的」なイメージがありますが、本書から浮かび上がるのはむしろ「静」。「退屈」という言葉がタイトルに表されているのもそういう理由からでしょうか。発表後50年以上を経てもとても「新しい」、当店でもファンの方が多い書籍です。


「アジア未知動物紀行」 高野秀行/講談社文庫
UFO(Unidentified Flying Object=未確認飛行物体)ならぬ「UMA」(Unidentified Mysterious Animal=未確認不思議動物)を探し求めるため、アジアを巡る旅を描いた作品です。高野秀行の処女作「幻獣ムベンベを追え」では、UMAムベンベを発見した場合の権利について、当時のコンゴ共和国政府と契約書まで交わしたというのですから、筆者の旅がいかに本気かつシュールなものであるか、ご理解いただけるでしょう。
本書では、ベトナムに「フイハイ」、奄美大島に「ケンモン」、アフガニスタンに「ペシャクパラング」を探します。これらの伝説とも言われる得体の知れない動物達に本当に出会えるのか。それは一体どんな生物なのか。「極本気」旅の目的そのものよりも、奇想天外な旅ゆえにぶつかるのであろう現地の人々との交流や、じかに見出されるものの数々。それがまさに本書のユーモアであり醍醐味でしょう。


「澁澤龍彦」との旅 澁澤龍子/白水社
熱狂的ファンの多い澁澤龍彦。死後25年を経た2012年になって、このような書籍が出版されるということからも人気の根強さをうかがい知ることができます。仏文学者、作家としての澁澤の世界にのみ没入したいファンにはお勧めしませんが、著者・澁澤龍子が妻という立場でしか知りえない等身大の人間として描いた澁澤を垣間見られる点で、興味深い内容だと思います。「旅は道連れ」――それが誰であるかによって旅そのものの質はいかようにも変容するでしょう。彼との旅はどのようなものか、妄想するのもまたファンとしての喜びです。

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